活動プログラム紹介 ▸ 学校の授業への協力
「花を観察して、いけてみよう」ーー花の命を感じてーー
総合(伝統文化・生命・キャリア)/図工
実施協力:株式会社東日本板橋花き(花材の提供・講師派遣)
命ある花と向き合うことを大切にしながら、1本の花をじっくりと観察し、花道家にいけばなの歴史や花のいけ方を学びます。
それぞれが花器も自作し、1本の花と1枚の葉をいけます。
それぞれが花器も自作し、1本の花と1枚の葉をいけます。
最後に、先生も含め全員でクラスに飾る大きな作品をいけて、みんなで心に残る花の思い出を共有する授業です。
*本授業は、株式会社東日本板橋花き(花き市場)の協力により実施しています。
*本プログラムは、花道家 大久保有加氏と共同開発したものです。
*本プログラムは、花道家 大久保有加氏と共同開発したものです。
総合(伝統文化)総合(生命)総合(キャリア)図工花育観察
実施条件
対象学年: | 小学校低学年以上(中学校以上でも実施できます) |
---|---|
所要時間: | 90分(2単位時間・1単位時間/45分) |
授業講師: | 花道家、東日本板橋花きの講師 |
授業の目標
- 1本の花と向き合い、大切にすることで、 繊細な命に触れる感覚や弱い存在を守る感覚を養う。
- 「見る・触る・嗅ぐ」諸感覚を使って丁寧に観察することで、身近な自然「花」への理解を深め、命の不思議さやおもしろさを感じ取る。
- 花をいける過程で生まれる「偶然の美」に気づき、 創造する楽しさ、喜びを体験する。
- 花をいけることで周りの環境が変わることに気づき、自らの手で生活を豊かに彩り楽しむ方法を知る。
- 一人でいける体験とみんなでいける体験を通して、それぞれの良さを認め合い、共に創り上げる喜びを知る。
- 講師から、いけばなの歴史や国際的な評価についてのお話をきき、海外でも「IKEBANA」として通じる伝統文化に、誇りと関心を持つ。
- 花道家や花市場の方々と接することで、それぞれの仕事を知り、仕事や働くことへの憧れを持つ。
教材・用具
使用教材・用具
- 花材/東日本板橋花きより提供
- 花器用のクラフト紙、クラス用の花器の土台/感性の教室より提供
学校の準備
- 観察用虫眼鏡(一人1個ずつ) ・ホッチキス(一人1個ずつ)
- 観察ワークシート用の印刷できる画用紙 人数分+α(A4)
- 実物投影機
- 花を保存するためのポリバケツ6個 ・床を汚さないための養生シート
- ぞうきん10枚、ゴミ袋、新聞紙3日分
児童の準備
- 筆記具、はさみ
- 500mlペットボトル/底からの高さ12センチのところで上部を切り取り、切り口をセロテープでくるんだもの
プログラム概要
授業プログラムの概要
- 一人1本ずつ、花をじっくり観察する(観察ワークシートを使用)
花の種類や生産農家、花き市場のお話をきく。
丁寧に見ながら、スケッチをする。
虫眼鏡で花の各部を観察し、面白いと感じた一部分を拡大してスケッチする。
匂いや触った感じを言葉で表現する。 - 花道家から、いけばなの歴史や国際的な評価、花の仕事について、お話をきく
- 花道家から、花や葉の様々な表現方法を見せてもらい、花のいけ方を学ぶ
- 花器をつくる
ペットボトルを、色々な形にアレンジしたクラフト紙で包み、花器をつくる。
担任の先生も大きな器を和紙で包み、クラスの花器をつくる。 - 自分でつくった花器に、1本の花と1枚の葉をいける
- 花き市場の講師から、みんなでクラスのためにいける様々な花の名前と産地をきく
- 大きな花器に、一人1本ずつ花をいけて、クラスに飾る
- 振り返り
ワークシートに、授業を振り返り、気づいたことや感想を書く 。
それぞれ個人作品やクラスの花を観賞し、講師から講評をきく。
プログラムのポイント
ーーより豊かな体験のためにーー
授業の初めに、花には命があり、大切に扱わないと萎れたり枯れたりしてしまうことを伝えて、子どもたちが花の命を感じながら取り組めるよう働きかける。
授業者自身も、花の説明をする時や子どもたちに花を手渡す時など、授業のあらゆる場面で、命ある花に丁寧に接する姿勢を子どもたちに見せて、花をモノにしない授業を心がける。
花を観察する時には、上手にスケッチしたり完成させたりすることが目的ではなく、花をよく見ることが大切であることを伝える。
触ったり匂いを嗅いだりした時に感じたことも、無理に文章を作らず感じたままを素直に言葉にするように促す。
予断を持たずに諸感覚を使って、1本の花と向き合う観察体験を目指す。
感想
子どもたちの言葉 ーーワークシートの感想より抜粋ーー
3年生
- さいしょは、できるか心配だったけど、きれいにいけられてうれしかったです。家でもやってみたいです。
ガーベラのまん中のところがフワフワしていることをはじめて知りました。 - みんなが、なぜお花が好きかわかりました。
4年生
- 花や葉っぱが、とてもデリケートだということを発見しました。
こわれそうで、びっくりした。 - 思ったよりかんたんで、楽しかった。心をこめるときれいになると分かった。
クラスでいけた花は、心が一つになってきれいだった。
5年生
- お花を観察すると、とても心が和みました。
- 観察した時は、予想しなかったにおいやさわりごこちだった。
虫めがねで見たら、小さな見えない世界が見えた。 - 花と草と心を通わせてやる花道は、とても楽しいと思いました。
今度、家でも、妹や弟にいけ方を教えてあげたいです。 - たった一つの花の位置が変わるだけで、特ちょうや印象が全く変わることに驚いた。
他の人の作品を見ると、「こんなのもあるのかー」とびっくりするものも、いっぱいあった。
6年生
- 最初、私は花を見ても、少ししか「生きている」と感じられませんでした。
でも、くきなどをさわってみると、下の方はみずみずしくて、上の方はふさふさしていて、まるで人間のようでした。
それで、「花は生きているんだな」と、とても感じました。 - ぼくは「もっと花のことを大事にしたい。」と思いました。
そして、先生方が花の名前や特徴をほとんど知っていて、すごいなあと思いました。
ぼくも花屋で働いたりしたらみなさんのような人になって、お花のことをたくさん知りたいと思いました。 - 大事なのは、いけばなを上手にやろうということではなく、花と向き合って楽しむことだと思いました。
花はとてもすごいなあと思いました。
世界中の花がみんなから大切にされるように、私たちが伝統を守っていき、私たちが広めていきたいです。
授業者より授業実施報告
本授業は、低学年から高学年まで、通常の授業をはじめ謝恩会・展覧会に向けても実施されています。
どの授業においても、子どもたちが1本の花と真摯に向き合い、花道家の話や花のいけ方を目を輝かせて見つめ、それぞれが創造性あふれる作品を作り上げます。
花道家から「プロも真似ができない」という感嘆の声が上がるほどの作品ばかりで、先生方にとっても、子どもたちの潜在力や可能性を感じる機会となるようです。
子どもたちの感想の言葉からも、子どもたちが、諸感覚を使った観察や花と向き合う体験を通して、花の命やいけばなの魅力、友だちを認めることなど、発達段階に応じて多くの気づきを得ていることが伝わってくる授業です。
どの授業においても、子どもたちが1本の花と真摯に向き合い、花道家の話や花のいけ方を目を輝かせて見つめ、それぞれが創造性あふれる作品を作り上げます。
花道家から「プロも真似ができない」という感嘆の声が上がるほどの作品ばかりで、先生方にとっても、子どもたちの潜在力や可能性を感じる機会となるようです。
子どもたちの感想の言葉からも、子どもたちが、諸感覚を使った観察や花と向き合う体験を通して、花の命やいけばなの魅力、友だちを認めることなど、発達段階に応じて多くの気づきを得ていることが伝わってくる授業です。
授業風景
②いけばなの歴史について、花に関わる仕事について、 写真を見ながらお話をきく
600年に渡り続く日本の花文化「いけばな」について学び、花道家の花の仕事の紹介を通して、いけばなが国際的にどう評価されているかを知る。
600年に渡り続く日本の花文化「いけばな」について学び、花道家の花の仕事の紹介を通して、いけばなが国際的にどう評価されているかを知る。
③花のいけ方について学ぶ
花や葉の様々な表現方法について、花道家の実演を見ながら学ぶ。
花や葉の様々な表現方法について、花道家の実演を見ながら学ぶ。
④ペットボトルとクラフト紙で花器をつくる
ペットボトルを、色々な形にアレンジしたクラフト紙で包み、花器を製作する。
ペットボトルを、色々な形にアレンジしたクラフト紙で包み、花器を製作する。
⑤観察した花を花器にいける
観察した1本の花と1枚の葉を、様々な表現方法を試しながら、自分でつくった花器にいける。
観察した1本の花と1枚の葉を、様々な表現方法を試しながら、自分でつくった花器にいける。
⑥クラスの花について説明をきく
花き市場の講師から、クラスの大きな花器にいけるための季節の花々の名前や産地について説明をきく。
花き市場の講師から、クラスの大きな花器にいけるための季節の花々の名前や産地について説明をきく。
⑦季節の花を一人1本ずつ、クラスのための花をいける
一人1本ずつ、友だちや先生、教室への感謝を込めて、クラスの花をいける。
一人1本ずつ、友だちや先生、教室への感謝を込めて、クラスの花をいける。
⑧クラスの花を教室に飾る
みんなでいけた作品を教室に飾り、水を足したり枯れた花を摘んだりして、毎日世話をして長く楽しむ。
みんなでいけた作品を教室に飾り、水を足したり枯れた花を摘んだりして、毎日世話をして長く楽しむ。
⑨子どもたちの作品
【参考図書のご紹介】
『花育をはじめよう 花とふれあおう』
大久保 有加/加藤 潤子著 *感性の教室が編集に協力しています。
出版社:汐文社 発行:2017年2月
出版社:汐文社 発行:2017年2月
花の観察やいけ方をはじめ、日本の花文化や歴史について、詳しく掲載されている本です。
指導者を対象に、授業の実施上の留意点についても、丁寧に解説しています。
指導者を対象に、授業の実施上の留意点についても、丁寧に解説しています。
【関連リンクのご紹介】
全国花育活動推進協議会 花育実践者向けマニュアル 小学校中・高学年編(平成23年度)
本プログラムの詳細は広く公開され、多くの学校で実施されています。
1本の花を丁寧に見たり虫眼鏡で観察したりしながらスケッチをする。
次に、花の匂いを嗅ぎ、また触って感じたことを言葉で表現する。