活動プログラム紹介 ▸ 学校の授業への協力
「日本の伝統色を学び、栞をつくろう」
図工 / 総合(伝統文化)
実施協力:DICグラフィックス株式会社 (講師派遣・教材貸与)
日本の伝統色と自然や文化のつながりについて学び、色名の由来となった植物等を観察します。
その後、伝統色の色見本帳を手掛かりに調色に挑戦し、自分でつくった伝統色を使って、栞を制作する授業です。
その後、伝統色の色見本帳を手掛かりに調色に挑戦し、自分でつくった伝統色を使って、栞を制作する授業です。
*本授業は、DICグラフィックス株式会社の協力により実施しています。
図工総合(伝統文化)観察
実施条件
対象学年: | 小学校高学年(中学校以上でも実施できます) |
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所要時間: | 95分(2単位時間+休み時間5分・1単位時間/45分) |
授業講師: | DICグラフィックス株式会社の講師 感性の教室ファシリテーター |
授業の目標
- 日本の伝統色の文化的背景や自然との関わりを知り、その豊かさに気づく。
- 色見本から、日本の伝統色の多彩さや特徴を感じ取る。
- 実際に伝統色をつくり、色の由来を知ることで、伝統色への関心を高め、日本文化への理解や親しみを深める。
- 試行錯誤を重ねて伝統色をつくる過程で、微妙な色合いの差異を感じ取る感性と、諦めずに挑戦する力を伸ばす。
- 伝統色を使って栞を制作することで、伝統色の魅力や活かし方に気づく。
- 各自がつくった伝統色や作品を鑑賞し、発表を聞くことで、それぞれの良さを認め合い、体験を共有する。
教材・用具
使用教材・用具
- DICカラーガイド 『日本の伝統色 』第9版 /DICグラフィックスより貸与
- 色名の由来となった自然物:青竹、柿、栗、松葉、小豆、朽葉、茄子 *季節毎に変更
- 栞の用紙:水彩紙(中厚口)
- 児童用の資料:伝統色の由来と混色の使用色と分量の目安を記載したカード
- つくった色や感想を記録するワークシート・試し紙(水彩紙)
*上記の教材は、提供・貸与をいたします。
学校の準備
- 学校の準備:PCとモニター、実物投影機
児童の準備
- 水彩絵の具、筆、パレット、水入れ、筆記具
プログラム概要
授業プログラムの概要
- 日本の伝統色についてのお話をきく
- 日本の伝統色の由来や背景について、お話をきく。
藍・鬱金・柿渋など、染め物等の実物を見ながら、染料に由来する色名が多いことを学ぶ。
- 色見本のお話をきく
- 色見本とは何か、どんなところで、どのような目的で使われるのかについて、また、日本の伝統色の色見本について学ぶ。
フランス(西欧)の伝統色と中国(アジア)の伝統色の色見本についても、お話をきく。
- 日本の伝統色の色見本帳を手に取って見る
- 様々な伝統色と色名を知る。
- 自然の色を観察する
- 授業者/季節に合わせて使用色を選択 例:青竹色、柿色、栗皮色、小豆色、松葉色、朽葉色
- 各班ごとに、色名の由来となった植物等を観察し、色見本と比べる。
- 色見本に合わせて、色をつくる/児童の水彩絵の具を使用
- 授業者/児童・生徒数の伝統色を色相ごとにバランス良く選ぶ。
例:紅色 鴇色 浅葱色 露草色 山吹色 鬱金色 萌葱色 青竹色 藤色 茄子紺 柿渋色 栗皮色
- 白や黒の使用法等、混色の留意点について説明をきく。
- 班ごとに、赤系・青系・黄系・緑系・紫系・茶系の伝統色に挑戦する。
各自1色ずつ、挑戦する色の名前や由来をワークシートに記入した後で色をつくる。 (試し紙に塗って調色する。) - ワークシートに、混色に使用した色や完成した色を塗り、記録する。
- 伝統色の栞をつくる
- 線・丸・三角・四角などの単純な形で栞をデザインして、各自がつくった伝統色を塗って完成。
- 感想を書く
- ワークシートに、授業を通して感じたことや気づいたことを書く。
- 振り返り:作品の鑑賞と、感想の発表
- 班ごとに作品を並べてみんなで鑑賞し、授業や作品の感想を発表する。
プログラムのポイント
ーーより豊かな体験のためにーー
伝統色を身近なものと感じられるように、実施時期の季節に合わせて伝統色を選び、色名の由来となった植物等を用意する。
一般的な水彩絵の具を使った調色でも、伝統色の再現ができるように、授業者は、事前に使用する基本色を決めて再現実験を行い、目安となる大まかな割合を示す。
感想
子どもたちの言葉(6年生)/ワークシートの記録より抜粋
- 自然のものからできた伝統色は、実物とは少し違う色があって、いろんな色があることがわかりました。
- 日本の色は、たくさんの色があって、一つ一つの違いが面白かった。
- 色名は、人の名前や花の名前など、色々な物からきていることがわかった。
- 色見本の目的が分からなかったが、説明があり、とてもわかりやすかった。
- 色は、私の知っている数をこえて無限にあることに驚いた。
- 食べ物や生物の名前から色の名前になったのが、おもしろかった。
- もっと自分の色をつくってみたくなった。
- とても珍しい体験ができた。また、やりたい。
- 色に微妙な差があることを知りました。難しかったけれど、楽しかったです。
- 栞のデザインが、みんな違っていて、見ていて楽しかった。
- 伝統色の再現はとても難しかったが、だいぶ上手にできたと思う。
- 色は少しの違いで違う色になるから、自分のお気に入りの色が見つかりやすいと思った。
- 自然にはたくさんの色があって、私がつくった紅色も、わずかな差で変わってしまうことがわかった。
授業者より授業実施報告
子どもたちは、色見本や植物の観察を手がかりに、伝統色の豊かさや日本の自然や文化との繋がりを無理なく理解することができたようです。
授業の様子から、たくさんの色の存在を知った喜びや、粘り強く調色を繰り返しその難しさを越えて、達成感を得たことが伝わってきました。
子どもたちの調色の精度の高さに、先生方も講師も驚かされました。
子どもたちの調色の精度の高さに、先生方も講師も驚かされました。
下描きをせずに筆で自由にデザインした栞は、どれも伝統色の色味が活かされた作品で、知的好奇心が旺盛で瑞々しい感性を持った子どもたちが、伝統色を学ぶ意義を実感した授業でした。
授 業 風 景
また、藍、鬱金、柿渋で染めた布などを見ながら、染色に由来した色名が多いことも学ぶ。
②色見本のお話をきく
DICグラフィックスの講師から、色見本とは何か、どんな目的で使われているのかなどについてお話をきく。
DICグラフィックスの講師から、色見本とは何か、どんな目的で使われているのかなどについてお話をきく。
また、伝統色の色見本帳についてお話をきく。
③日本の伝統色の色見本帳を見る
プロ仕様の伝統色の色見本帳を実際に触って、様々な色があることを知る。
プロ仕様の伝統色の色見本帳を実際に触って、様々な色があることを知る。
④自然の色を観察して、色見本と比べる
青竹色、柿色、栗皮色、小豆色、朽葉色、松葉色の色名の由来となった植物を観察し、色見本と比べる。
青竹色、柿色、栗皮色、小豆色、朽葉色、松葉色の色名の由来となった植物を観察し、色見本と比べる。
⑤挑戦する色を決めて、色名の由来を知る
色名の由来を記したカードと、自然物や写真を見て、自分が挑戦する伝統色の由来について、ワークシートに記録する。
色名の由来を記したカードと、自然物や写真を見て、自分が挑戦する伝統色の由来について、ワークシートに記録する。
⑥色見本に合わせて色をつくる
班ごとに、青系・赤系・黄系・緑系・紫系、茶系に分かれて、伝統色を各自一色ずつつくり、その後でワークシートに、混色に使用した色や完成した色を塗って記録する。
班ごとに、青系・赤系・黄系・緑系・紫系、茶系に分かれて、伝統色を各自一色ずつつくり、その後でワークシートに、混色に使用した色や完成した色を塗って記録する。
⑦伝統色の栞をつくる
各自がつくった伝統色を使って、下描きをせずに、色のイメージをいかして、筆で自由にデザインして、栞をつくる。
各自がつくった伝統色を使って、下描きをせずに、色のイメージをいかして、筆で自由にデザインして、栞をつくる。
⑧作品の鑑賞
青系や赤系等、各班ごとに作品を並べて、みんなで鑑賞する。
青系や赤系等、各班ごとに作品を並べて、みんなで鑑賞する。
⑨子どもたちの作品
伝統色の色見本にかなり近い色をつくることができました。
伝統色の色見本にかなり近い色をつくることができました。
日本の伝統色が、自然や文化に由来していることについてお話をきく。